佐渡の世界遺産の書類の不備の件、ほんとに今更なぜ??という感じだけど、メディアの強調して伝える祝賀一色即落胆一色みたいなのよりはもっと複雑である。地元の友人たちからは多種多様な意見を聞いていた。 --------- 具体的には徴用工として、朝鮮、韓国の方達が当時金山で労働していた問題。 「危険だとしても、高いお金を貰って仕事をしていたんだから、何が悪いの?」という意見 (NHKのドキュメンタリーも見たけれど、朝鮮のある地方の村の方を地元に帰らせ、その村の男たちを労働者として皆連れて来させる、という方法が紹介されていた。危険だというならお金のため、我慢できる人もいたかもしれないが、お金を稼いでも、地下の金山で死ぬまでとなったらまた話は違うだろう。例えば同じようなことが日本各地であったが、北海道のダム工事に朝鮮から来て、従事していた人は、自分の意志で来たが、殺されると思って逃げたという。各港には逃亡者が佐渡から出ないように見張がいたー佐渡の人で船を出して当時助けたと言っている人も実際にいた。さらに現代でも中抜きなどは良くあるし、道徳的にはマシになっているとも言える今日の暗いニュースを重ねて見るだけで、「過去の文献」に書かれていないような例外があったのは容易に想像できる。) 「日本人も同じく厳しい労働環境だった」という意見 本当にその通りだと言える。 だから徴用工問題は、 (1). 始まりから現代まで続いている資本主義の問題。(国内人に対しても外国人に対してもだが、特に弱者に重圧がかかる) (2). 政権を人気にするために利用された、特に隣国に対する根深い差別、ヘイトスピーチ的な問題。 (3.) 日本では美化、正当化するのが許される、太平洋戦争前後の日本の侵攻、植民地主義の問題。 などがミックスされていて全部違うアプローチが必要だと、みんなと話し合って、まとめるに至った。 そんな中、安倍元首相の事件が起こり、タカ派だと言われる程の人だったのに、韓国の宗教団体 を票田に使っていて... など、 資本主義下では、「国(日本)」というものは無く、国民は血税の頭数であり、超国家的な、資本家、「名家」、今昔権力者、大企業への、「でっかい強制募金箱」が国、なのだなと...。ATMと言っている人もいたが、一度繋がれば、日本、アメリカ、韓国、どの国でも、協力しながら、お金をすすれる立場の人たちに、国家の守りたいプライドで敵対...なんてあるわけがない。 --------- 積極的に動いている方達も、佐渡を昔の賑わいに戻したいという思いと、なるかならないか、結局はどちらでも良いけれど、なった場合、受け入れ先がなかったりといった問題を地元は解決しなければいけない、という責任感のようなものが大きかった印象がある。 佐渡はとても魅力的で、そう言ったこれからの議論を、世界遺産ありきじゃなくもう一度する機会にもなると、私はそう、思わせていただいた。 この間に何回か、有志の勉強会に不勉強ながら参加させていただき、市議会議員で佐渡キリスト教会牧師の荒井眞理さんから、すでに佐渡が「世界農業遺産」であることを伺った。👨🌾🍅🥕🥬 "世界農業遺産(GIAHS)とは、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに密接に関わって育まれた文化、ランドスケープ及びシースケープ、農業生物多様性などが相互に関連して一体となった、世界的に重要な伝統的農林水産業を営む地域" 美しい棚田とか、柿とか、個性的な農業が確かに佐渡にはたくさんあり、車田の珍しい神事もあり、まさに上記の説明文の通りである。他農薬の減薬や、無農薬なども積極的に行っている。 佐渡ですごいなと思うのが、エコロジー意識の高さで、東京でプラスチックバックが有料になる何年も前から、佐渡では有料で、みんなエコバックを利用していたという。また、虫の慰霊碑すら存在する。 農業や、そう言った環境感覚は、これからの地球全体で明らかに指標となるべきもので、未来的な価値と言える。 こう言った自然の豊かな佐渡で、金山という、幕府、三菱直下、高い技術が使われていた一方、人の業、欲望の果てしなさを象徴するもの(金山は普通に大きな山なのだが、掘られすぎて、天辺から裂けている)をどうしても出てくるダークツアリズム的な側面になぜか触れず、世界遺産にするのではなく、 太古の地層が見られ、ジオパークとして楽しめる、佐渡島全体を自然遺産として打ち出せばいいんだ、ジオパークならば、保存するのに必要であろう膨大なお金もかからないのもいい。という話も荒井さんから出て、とても頷けた。 また、個人的には金山の負の歴史と言える部分こそが、むしろ訪問者に考えさせることができるし、世界遺産として相応しいものなのではと思う部分もある。 私自身は、金山のある相川や南の方の小木などにいた、遊女にもとても興味がある。溝口「山椒大夫」で、人攫いに誘拐され売られたあと、老婆になって彷徨う母と、彼女を探し続けた息子が再会する海辺がこの佐渡だと気づいたときは複雑な気持ちになった。 金山では、朝鮮、韓国人も、勿論日本人も長い歴史の中、さまざまな形で働いていた。 金脈が近くにあるらしい柄が岩肌に出ると、まるで金に対し、神を崇めるように儀式を行う一方、「佐渡の金山この世の地獄」「針の山」などと歌われてもいる。わたしは金山内の江戸時代の労働者の人形の展示に、その暗い歴史に対して意識的なものを感じたし、そうした奥深さこそが好きである。 徴用工の問題についても、軍艦島のような件があって、なぜ次に進めるのか...異なる時代の出来事を今の価値観で裁くことも、その国ごとにあるだろう歴史研究も難しいものだと思うし、自分の意見を丁寧に説明し、ユネスコを説得した結果だったらまだわかるのだが、安易な約束の反故で、普通にただの嘘つきで、自分の国の代表者がこんなことをしていることに純粋に驚かされる。 日本政府は2015年、軍艦島を含む「明治日本の産業革命遺産」の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界文化遺産登録の際、強制労働を含む全体の歴史を理解できるよう措置を取ると約束したが、いまだに履行していない。 もし国が本当に「世界遺産」のオーラのあるものとして、金山を登録して、地元を潤したかったのなら、強引にやるのではなく、もっとやり方があったのではないか..。一転推薦は、明らかに何かの力が働いたに違いなかった。また、ロシアの件もあり、推薦のタイミングも全くいいとは言えず。。おそらく23年は無理だろうねと話している間に、よくわからないことが色々起きてしまった。 いつも思うのは、歴史の中、大規模な金山関係を始めたのも、搾り取るような労働をさせていたのも、佐渡の人ではない...佐渡の人は「朝一番の太陽を見るのが」「野菜を育てるのが」「海を見てるのが一番幸せ」みたいな人が本当に若い人でも多い。金山を掘るのと全然関係ないパーソナリティだと思う。(ネイティブの「佐渡の人」の定義が難しいが、とにかく山にあった金はほとんど全て、どこかへ行ったのだ。)三菱や日本の大企業は今、原子力関係も牽引しているけど、佐渡には核廃棄物処分場も作られようとしていた。前に遊びに行った鷲崎(写真5、6枚目)も候補地に上がっていたらしい。去年の夏私はずっと佐渡にいたけど、海辺ではクーラーを使うことがなかった。近くの原発の電力も稼働すれば東京へ行く。 教会に宿泊させていただいたときに隣室だったトモコさんは国連で勤務されていた方で、朝キッチンでコーヒーを淹れてくださって立ち話する短い間に、知らない世界のことを聞けるのがとても興味深かったのだが、辺野古のデモに通っているお友達のお話も伺った。 2月、3月に埋め立て予定地周辺で、ジュゴンとみられる鳴き声が確認されたことを受け 辺野古の記事で、「国がやることにいくら反対しても仕方ない。辺野古の工事が止まらない現状を見れば分かる。それなら予算をしっかり取って経済を回そう」というのを読んだけど、 「国(辺野古の工事)は止まらないから止まらないのだ」と聞こえる。 総工費は9300億円。税金。
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September 2024
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